その昔、中華デジタルアンプに手を付けた時、その価格に対するパフォーマンスに驚愕したものでした。1万円のパワーアンプは、20万円のAVアンプに搭載されるパワーアンプよりはるかにいい音を出していました。
その後、安価ならではの取り回しの不便さから最終的には手放し、現在は同じデジタルアンプである、PS AUDIO S300というパワーアンプに落ち着いています。
今では、これまで音楽も映画もゲームもすべてAVアンプメインだったのですが、さらに上の音質を目指すべく「DAC」を探しています。DAC選びと、TEAC UD-503にたどり着くまでの過程は別のブログに書いています。
今回手にしたのは TOPPING D70。USB、光、COAXIAL入力と、バランス、アンバランスの出力を持つごくシンプルなDACです。
高い前評判
かの、Audio Science Review では次のページでレビューされています。
https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/review-and-measurements-of-the-topping-d70-dac.7694/
ノイズや歪の計測で非常に精度が高く、ランキングでも上位に分類されています。これは期待できると。
とにかく音がいい
TEAC UD-503でもいい音を手に入れたと思ったのですが、さらにその上を行きました。言葉で表現するのは難しいですが、音の傾向はそのまま、さらに細部の音が表に現れてくるという感じ。ノイズフロアのわずかな差が表れた結果かと思われます。
TEAC NT-503の測定結果がこちらにあります。比較対象がTOPPING D30ですが、ほぼこれと同じような差があるものと思います。
https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/review-and-measurements-of-teac-nt-503-networked-dac.2028/
とにかく安い
Amazonで5万5000円です。同格と思われる国内メーカーの TEAC UD-505 は15万円です。
消費電力が極小
100Vにつないだ電流計で、電源投入後のスタンバイ時で20mA、OPT-inで再生時でも60mAなど、これまでになく電力消費が少ないです。これには困ったことが1つあって、DACとパワーアンプの電源連動に使用していたサンワサプライの電源連動タップが使えなくなってしまったのです。サンワサプライのこのタップはパソコンと周辺機器の電源連動の用途で設計されているようですが、オン・オフを見分ける電流の閾値が100mAと書いてあります。TEAC UD-503の時はこれが使えていたのが、TOPPING D70になって使えなくなりました。電源オン時でも消費電力が100V100mAに満たないからです。これをどう解決したかはまた別のページで紹介します。
DACというのはそもそも発展途上なのかという疑問
ここまでいい音のDACを探して奔走してきて思うことは、DACというのはそこまで難しいものなのかということです。デジタルで表現された数値を電圧や電流としてプロットするだけだろうと単純に考えるのですが、そこにはデジタルとアナログの間の埋められない溝の深遠な物語、ジッタ処理、そしてハードの実装方法まで複雑な要素が無数に絡んでいることがわかりました。
最近では、DACのチップは、旭化成のAKシリーズ、ESSのESシリーズ、高級ブランドメーカーは独自のFPGA実装などが大筋です。例えば、旭化成のDACは開発が1990年ころで、AKシリーズの AK4490は2014年に入ってからで、最新の AK4499まで5年ほどしか歴史がありません。世代を追うごとに向上しているということは、それはいい意味で発展途上であり、今後も数年単位で、性能、音質が目に見えて変わっていくだろうということが期待できます。そういう意味では、スピーカーやアンプなど長く使えるジャンルと違い、AVアンプと同様に技術変化の速いジャンルでそのスピードにキャッチアップしていくには数年ごとの買い替えサイクルも覚悟しないといけない宿命にあるんでしょう。
参考)
DACを造る“現場の創意工夫”が音に効く、旭化成エレ「AK4497/4493」の裏側https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/1093585.html