12Vトリガーとリレーで作るDIY電源連動入力ソース切替AV切替器(電源なし超手抜き自作)

 

高級なパワーアンプと高級なスピーカーを手に入れたあと、マルチチャンネルで映画などを見るときのAVアンプの構成と、DACやネットワークストリーマーからのピュアな再生とでアンプ・スピーカーを共通して使いたいと思うものです。プリアンプ、プリメインなどの構成の場合入力ソースの切り替えに困難はないかもしれません。残念ながら当方の構成は、「プリ」段階のない、(DACまたはAVアンプ)→パワーアンプ→スピーカーというものです。これの切り替えと電源連動を自動的にやらせたいというのが今回の目標になります。

前提

  • 入力ソース1 AVアンプ(フロントRCA出力、12Vトリガー2系統あり)
  • 入力ソース2 DAC(XLR出力、12Vトリガーあり)
  • パワーアンプ1台(XLR入力と12Vトリガー入力あり)
  • フロントスピーカー1組

AVアンプだけの構成の場合は難しくありません。ピュアオーディオを目指す方々はやはりAVアンプの音質には我慢できず、ちょっと上のパワーアンプとDACを導入されているのではないかと思います。そんな環境でスピーカーは1組、入力ソースが複数となると、プリアンプを間に挟んで、プリアンプで入力切替を行うといった構成が正攻法ではないかと思います。

今回ここでは、無謀手抜き構成にチャレンジします。

今回のわがまま要件

  • 最高音質を誇るフロントスピーカーとパワーアンプはAVアンプからもDACからも使いたい
  • 音質をピュアではなくしてしまうようなプリアンプみたいなものは間に挟みたくない(単に予算ケチりたいだけ)
  • AVアンプ、DACとパワーアンプの電源連動と入力ソース切り替えを全自動にしたい
  • できれば切替器は電源レスにしたい

やりたい構成の構成図は次のような感じ

AVアンプ(YAMAHA)には12Vの電源コントロール用のトリガーが2系統。DAC(実際はそれとつながるネットワークプレーヤー)にも12Vトリガー出力。パワーアンプにも12Vトリガー入力があり、これらを駆使して実装します。

AVアンプの電源がオフの間はDACと繋がっており、AVアンプの電源を入れると入力ソースがAVアンプに切り替わります。またパワーアンプに入力した12VトリガーでAVアンプかDACのどちらかがオンになるとパワーアンプも自動的に電源が入ります。パワーアンプに2系統の 12Vトリガー入力があるか?と思いますが

  • 12V in
  • 12V out(pass through)

と、2つのピンジャックが実装されていることがあり、out のところを入力として使います。というのも中の回路は方向を意識した作りになっていないと思われるからです。私の場合実際これで動いています。

電源レスの可能性

AVアンプの12Vトリガー出力は 0.1A つまり 1.2Wまでの電力は供給できるとあります。この電力の範囲ならもしかしてリレーを直接駆動できるのではないかというのが「電源レス」の発想です。ごく汎用品の 12V駆動のリレーを探します。XLRのシグナルを左右通すためにどうしても2極、2系統が2つ要ります。データシートを調べます。オムロンの G5V-2 DC12 というリレーを見ると

  • DC12V
  • 消費電力 500mW
  • 接点抵抗 50mOhm

2つで1W。ぎりぎりトリガーの電力で駆動できそうです。このシリーズのリレーには高感度版といって消費電力半分のものがありますが接点抵抗が倍になります。プリレベルのシグナルなので音質に響くほどのものではないと思いますがトリガーが使える電力が小さい場合はこちらを選ぶことになったかもしれません。

リレー2つだけで作る電源連動AV切替器

そこで2つのリレーを使った切替器の回路図を考えてみます。

今回は、入力がXLR+RCAなのでこうなりましたが、XLR+XLR入力でも同様に可能です。ポイントは、GNDを共通に繋いでしまっているところ。「切り替え」だけを考えれば、入力1,入力2がGNDも含めて完全に独立していてもいいのでしょうが、そうしたところ、切替時に盛大なポップノイズが入りあまり健康的ではありませんでした。

完成品の画像はあまりにひどいのであえて公開を控えさせていただきます。べたべたのはんだ付けと被覆の溶けた空中配線でとてもお見せできるものではありません。が、動作は問題なく、音質のロスもおそらく大したことなく実用上問題ないです。

 

 

DAC Gustard A22 (AK4499) → X26 Pro (ES9038PRO) への機材アップグレード備忘録

コロナ禍でストレスのたまる中、使わなくてもいいかもしれないお金チャレンジをしてみました。知る人ぞ知る中華DACのハイエンド製品を作る Gustard にあって、A22は旭化成のDACチップAK4499を載せた最上位モデル、X26 Pro はESS製のDACチップES9038PROを載せた最上位モデルとなっています。価格からも X26 が2割ほど上の設定となっており、レビューなどもそのとおりのやや上をいく評価となっています。

A22がX26へ行って違いが判るのか?

当方でもA22は評判通りの十分満足のいく音で、今までも特に不満はありませんでした。X26へ行ってみようかという動機付けは数々の比較レビュー、Audiosciencereviewの測定記事などで、読めば読むほど興味がわいてきたわけです。かといって、私の再生環境で、A22→X26Proのアップグレードしたところで差がわかるほどのものかはつねに疑問に思っていました。スピーカー、パワーアンプ、部屋の音響などがボトルネック、頭打ちとなれば、DACをいくら良くしたところでその違いが聞こえてこないかもしれません。そこはやってみないとわからないギャンブルだったわけです。

結果A22からX26の違い

A22を導入した時もそうでしたが、低域が一番違いの分かる部分となりました。A22より低音が締まり輪郭がよりはっきりしました。元々A22の時から若干疑いを持っていたのですが、低域がややぼわつく、ベースなどの楽器の輪郭や音程がややボケるという点。サブウーファーも導入しているため、当方のセッティングと部屋の音響の問題だろうと踏んでいました。それがX26導入でそうでなかったということが判明。低音が締まり輪郭がはっきりしました。逆にその結果、「音場」とか「サウンドステージ」との広がりという意味では小さくなったかもしれません。A22のほうが「バーーン!ドーーン!」という圧倒感があったように感じます。が、それも、音像が無駄にボケていた故なのかもしれません。

中音域、高音域ではまるで違いがわかりません。最初の設定でうっかり「NOS」設定をオンにしてしまい聞いていたところ高域がこもってこれはエイジングの問題か不具合かと焦りましたがAmazonMusicのようなストリーミング程度の音源ではNOSは初期値通りOFFが正解です。

一方で、左右の分解、定位感はA22よりもよくなった気がします。気のせいかもしれませんが。

X26には VIVID COMPOSITE GENTLE の3種類のフィルターがあります。A22にもAK4499のフィルター設定がありましたが、この差は私の駄耳ではほぼ判別できません。

やはりESSか

X26にチャレンジしてみようと思ったきっかけは、とあるヨドバシでYAMAHAのAVアンプ RX-A8A を聞いた時でした。当方自宅では RX-A3060 という2~3世代古いモデルですがESSのチップが載ったAVアンプを使っています。専用のDACには全然及ばないレベルですが、最新のモデルA8Aを店頭でほんの少し聞いたところたまたま自宅のA3060と違った透明感と高音の抜けみたいのを感じて、それならES9038PRO行けるかも?と思ったのがきっかけでした。※A3060はES9016S、A8AはES9026PRO使用の製品です

汎用DAC LSIの世界ではほぼESSか旭化成かというほぼ2択になっています。日本人としては旭化成をひいき目に見たいところですが、ここで残念ながら形成逆転、しばらくESSのお世話になろうと思います。

 

 

 

Airpulse A80 vs ONKYO GX-D90

PC デスクトップ用として10年近く愛用した ONKYO D90 は実売1万円台にしてデジタル入力からの音がピカ一でずっと気に入っていました。が、ここにきて、いよいよ買い替え欲に堪えられず同じくらいのサイズのアクティブスピーカーを探すことにしました。

候補1 KANTO TUK 

某YouTuberの自慢のPCデスクに乗っていたのを見かけてから探し出した製品です。リボンツィーターとなんといってもこの美しい造形に魅かれるものがあります。幅16cmとD90の幅12cmよりもやや大きめです。8万円クラス。ただ日本では手に入らないのが難点です。

候補2 Airpulse A80

A100 A200などの先行するシリーズの評判が非常によく、後発のA80は音色もチューニングされているというレビュー多数あり、また幅14cmとデスクトップサイズです。

そこで、まずは、KANTO TUK と Airpulse A100 の比較レビューをあたりました。(A80はサイズ違いのため比較できない)2つほど英語の記事を見つけました。結論から言えば、A100がやや上。KANTO TUKは造形の美しさでバイアスがかかって見えるのかもしれません。

結論 Airpulse A80

そこで、サイズも理想的な A80 に決定。

ONKYO D90 より上を行けるか?

ONKYO D90は定価2万円。Airpulse A80は定価8万円。値段から言ってA80がいい音を出さないはずはありません。

A80 いざ試聴

筐体はずっしり重量感があります。剛性もしっかりしています。PCとはUSBで接続 192khz/24bitに設定し、Amazon Music HDからお気に入りの数曲を再生しました。

最初の印象は、レビューで見た通り、フラットな印象。特別な何かを感じるほどの印象はありません。音源に忠実に再生しているように感じました。ただ、ひっかかるのは、リボンツィーターが思ったほど仕事をしていない感じがするのです。まだエージングが進んでいないせいかもしれません。ELACのスピーカーで聞けるような透き通るような高音が聞こえてきません。もう少しエージングが進んで変化があれば改めて書こうと思います。

D90 vs A80

さて、一番気になるこれまで愛用したD90とどのくらい違うかという点。これは、唸らせられました。ONKYO D90 2万円弱がいかに素晴らしいスピーカーだったかを改めて知ることになりました。A80と明らかに違いがあります。ただ、違った試聴環境でいきなりD90かA80のどちらかを目を閉じて聞かされたらあてられる自信がありません。

D90はおそらくプラスチックの筐体に軽い素材のスピーカーです。内蔵のアンプ出力も15Wと小さく非力。が、しかし、前面についたバスレフポートのためか、低音はよく響くし、ツイーターの高音もこのクラスにしてはよく抜けています。ただ、どうしても筐体の素材のプラスチッキーな響きが薄くまとわりついているのがわかります。また、限られた素材で精いっぱいの印象を稼ぐべく周波数特性は私の耳で測ってもフラットではありません。その分、A80はモニタースピーカーというに近く、低域から高域までフラットで安定した音出しです。また、もう一つ大きく違うのは、音像の定位感で、A80のほうが中央に定位する精度が高く、音像が立体的に、よく高級オーディオでいうスピーカーではなく空中から音が出ている感覚に近いものを感じることができます。リボンツイーターのなせる業かもしれません。

結論

A80で行くのは間違いありません。が、D90を引退させるのが惜しい。この価格とこの大きさにしてこの音は間違いなくいいスピーカーです。そんな頃、ONKYOの債務超過のニュースが入ってきて残念ですが、ONKYOのクラフトマンシップの魂がこれからも生き続けてほしいと思った次第です。

中華DAC恐るべし!AK4497使用の高音質DAC TOPPING D70

その昔、中華デジタルアンプに手を付けた時、その価格に対するパフォーマンスに驚愕したものでした。1万円のパワーアンプは、20万円のAVアンプに搭載されるパワーアンプよりはるかにいい音を出していました。

その後、安価ならではの取り回しの不便さから最終的には手放し、現在は同じデジタルアンプである、PS AUDIO S300というパワーアンプに落ち着いています。

今では、これまで音楽も映画もゲームもすべてAVアンプメインだったのですが、さらに上の音質を目指すべく「DAC」を探しています。DAC選びと、TEAC UD-503にたどり着くまでの過程は別のブログに書いています。

今回手にしたのは TOPPING D70。USB、光、COAXIAL入力と、バランス、アンバランスの出力を持つごくシンプルなDACです。

高い前評判

かの、Audio Science Review では次のページでレビューされています。

https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/review-and-measurements-of-the-topping-d70-dac.7694/

ノイズや歪の計測で非常に精度が高く、ランキングでも上位に分類されています。これは期待できると。

とにかく音がいい

TEAC UD-503でもいい音を手に入れたと思ったのですが、さらにその上を行きました。言葉で表現するのは難しいですが、音の傾向はそのまま、さらに細部の音が表に現れてくるという感じ。ノイズフロアのわずかな差が表れた結果かと思われます。

TEAC NT-503の測定結果がこちらにあります。比較対象がTOPPING D30ですが、ほぼこれと同じような差があるものと思います。

https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/review-and-measurements-of-teac-nt-503-networked-dac.2028/

とにかく安い

Amazonで5万5000円です。同格と思われる国内メーカーの TEAC UD-505 は15万円です。

消費電力が極小

100Vにつないだ電流計で、電源投入後のスタンバイ時で20mA、OPT-inで再生時でも60mAなど、これまでになく電力消費が少ないです。これには困ったことが1つあって、DACとパワーアンプの電源連動に使用していたサンワサプライの電源連動タップが使えなくなってしまったのです。サンワサプライのこのタップはパソコンと周辺機器の電源連動の用途で設計されているようですが、オン・オフを見分ける電流の閾値が100mAと書いてあります。TEAC UD-503の時はこれが使えていたのが、TOPPING D70になって使えなくなりました。電源オン時でも消費電力が100V100mAに満たないからです。これをどう解決したかはまた別のページで紹介します。

 DACというのはそもそも発展途上なのかという疑問

ここまでいい音のDACを探して奔走してきて思うことは、DACというのはそこまで難しいものなのかということです。デジタルで表現された数値を電圧や電流としてプロットするだけだろうと単純に考えるのですが、そこにはデジタルとアナログの間の埋められない溝の深遠な物語、ジッタ処理、そしてハードの実装方法まで複雑な要素が無数に絡んでいることがわかりました。

最近では、DACのチップは、旭化成のAKシリーズ、ESSのESシリーズ、高級ブランドメーカーは独自のFPGA実装などが大筋です。例えば、旭化成のDACは開発が1990年ころで、AKシリーズの AK4490は2014年に入ってからで、最新の AK4499まで5年ほどしか歴史がありません。世代を追うごとに向上しているということは、それはいい意味で発展途上であり、今後も数年単位で、性能、音質が目に見えて変わっていくだろうということが期待できます。そういう意味では、スピーカーやアンプなど長く使えるジャンルと違い、AVアンプと同様に技術変化の速いジャンルでそのスピードにキャッチアップしていくには数年ごとの買い替えサイクルも覚悟しないといけない宿命にあるんでしょう。

参考)

DACを造る“現場の創意工夫”が音に効く、旭化成エレ「AK4497/4493」の裏側https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/1093585.html

AV環境の機材変更しました。

AVアンプ YAMAHA RX-A3060

パワーアンプ Emotiva A-300

スピーカー DALI IKON 6 MK2

 

AVアンプ YAMAHA RX-A3060

パワーアンプ PS Audio S300

スピーカー ELAC FS407.2

 2019年6月

AVアンプYAMAHA RX-A3060とAK4490 DAC搭載TEAC UD-503の組み合わせでピュア2chが幸せになれるかの実験

AVアンプからさらなる高音質を目指してすすむべき道は

かねてから所有の YAMAHA RX-A3060 AVアンプの2ch再生に物足りなさを感じていて、なんとかピュアレベルの2ch再生を組み入れられないかを模索している最中です。

フロント2chを外部パワーアンプにして、スピーカーも新調したところでしたが、肝心のAVアンプから出てくる音自体に関してアイディアがいくつかありました。つまり、DACとしての役割部分の性能の向上を図れないかということです。

1.Marantz AV8805の導入

現在使用しているRX-A3060を完全に置き換えます。AV8805は価格もさながらAV(プリ)アンプとしては最高峰です。DACはかの有名な AK4490 で、デジタルの再生環境、2chの再生共にグレードアップが期待できます。

問題は、このアンプが50万円近い高額商品であることと、AVプリであるため、サラウンドスピーカーすべてのチャンネルをカバーするパワーアンプを別途用意しなければならない点です。

また、一方で、AK4490採用でありながら、AVアンプというカテゴリの中で、単体の高級DACにどこまで近づけるものかどうかが疑問として残ります。

2.Marantz AV7705の導入

日本ではまだ販売されていないようですが、アメリカではすでに購入できます。DACは AK4458VN とラインナップでは下位のものですが、現在のRX-A3060に乗っている ES9016S よりは期待できます。AVプリですから、後の事情は AV8805と同じになります。

3.YAMAHA RX-A3080の導入

現在の構成のままAVアンプだけの入れ替えなので、手間としては一番楽です。3060→3080で、DACは ES9016S→ES9026PROに進化している点と バランス入力、フロント2chのバランスプリ出力がある点がアドバンテージになります。ただ、やはり、AVアンプのカテゴリの中、2chの再生ででいかほどの向上が見込めるのかは未知です。

4.YAMAHA CX-A5200の導入

RX-A3080よりやや上を狙えるような気がしますが、もともとフロント2chだけを外部パワーアンプにつなげられればいいと思っているので、諸事情はMarantzのAVプリと同様です。3080とDACを含め機能的な差がわずかでありながら、全チャンネルパワーアンプ調達問題があるということで、コストパフォーマンスに説得力が足りません。 

まず旭化成 AK4490 がいかほどかを知りたい

10万円を超える出費の前に、旭化成AK4490のDACチップがいかほどで、どんな傾向を持っているのかを聞いてみたい欲にかられました。そこで、巷で有名な TEAC UD-503 を中古で入手。

試聴の共通な条件

音源はFLACファイルでDLNA経由で同じファイルを UD-503 と RX-A3060で再生させます。UD-503にはChromecastの光出力を使用。これで音源の質としてはほぼ同じ条件で比べられます。RX-A3060はもちろんPURE DIRECTに設定。パワーアンプは PS Audio S300で、UD-503からはXLRバランスケーブルで、RX-A3060からはシールドのRCAケーブルで接続。スピーカーは ELAC FS704 VELAです。音量的にはクラシックは -22dbあたり、POPSなどは-30dbあたりです。

試聴パターンは3つ

パターン1

間違いなく一番いい条件で、いい音質が聴けるはずのパターンです。

パターン2

RX-A3060のアナログ入力を通してプリアンプとして働いてもらうパターン。アナログ信号がAVアンプ内を通過することで幾分か劣化すると思われます。

パターン3

RX-A3060の内部DACで再生する私の従来からの試聴パターンです。

試聴結果

パターン1 > パターン2 ~ パターン3

順当な結果となりました。というか、UD-503のきれいな音を聞いて、YAMAHAの上位クラスのAVアンプのDACがこの程度だったことに驚きと落胆がありました。

こうなると、私が進むべき道は絞られてきました。

1.AVアンプ1本を貫くためとにかくAVアンプの最高峰を目指す。Marantz AV8805路線。UD-503と同じDACを積んでいます。

2.AVアンプで音質を極めるのは諦めて、良質の単体DAC探しの旅に出る。

 

しばらくして、1を諦めさせる出来事、というか事実が判明したため、残る2の道しかないという結論に。これは別ページで語ります。

 

 

 

CD音質のロスレスストリーミングサービス Deezer は確実に高音質!だが月1960円の価値はあるか?

Google Play Music との比較で語ります

当方は長らく Google Play Music の愛用者で、普段は、部屋のオーディオシステムで聴いています。参考までに、その構成は

  • Chromecast Audio(光ケーブル) または Chromecast Ultra(HDMI)
  • YAMAHA RX-A3060 AVアンプ
  • Emotiva A-300 メインアンプ
  • DALI IKON6MK2 フロアスタンドスピーカー

音源の質にもよりますが、Jazzやクラシックで、そこそこいい状態のものであれば、AVアンプの設定は

  • Music Enhancer ON
  • YPAOボリューム ON
  • 音響プログラム Straight

の状態で聴いています。(2chでは風呂と呼ばれるYAMAHAのAVアンプですが、80年代JPOPなど音の細い録音を聴くときに音響プログラムがボリュームと臨場感を加えてくれるものという考えです。)Google Play Musicの音質は MP3 320kbps 相当と言われていますが、総じて音質には満足していました。Googleのサービスは機能的にも充実していて、Androidスマホでのオンライン・オフライン再生、Google ChromecastやChromecast Audioへのストリーミング、ライブラリや、レコメンド、検索機能は秀逸です。

そこで飛び込んできたのが CD音質のロスレス再生を誇る Deezer という音楽サービスです。さっそく、1か月の試聴を申し込みました。

 

Deezer は確かに高音質。その差は低音に顕著に現れる。

Google Play Musicと音質を比較すると、ザラザラした背景が引っ込んでより音像がクリアになっていることにすぐに気が付きます。また、低音域が一番顕著に表れるところで、ベースラインがくっきりはっきりしています。これが圧縮音源と本来のCD音質かと思い知らされる瞬間でした。

ただし、この差がどんな再生環境でも現れるものかどうかは考えてみなければなりません。たとえば、iPhone と AirPods で音楽を聴く場合、音源がどんなに高音質であれ、AirPodsへ無線で転送された時点でAACコーデックの圧縮データに逆戻りしてしまうわけで、CD音質ロスレスサービスで使う意味がそもそもありません。

また重厚なアンプやスピーカー環境ではなく、卓上のミニコンポ、PCの両脇に置いた小さなスピーカーでの再生では、果たして有意な差があるのかも気になります。

音質以外でGoogle Play Music にかなうところは1つもなし

残念ながら、CD音質(後で検証しますが)以外、再生アプリの完成度、検索機能、レコメンド、ライブラリの操作性、音源の数(JPOPはかなりの率で入っていない)で、Google Play Musicにかないません。再生アプリは、かろうじて Chromecastへのキャストしての再生に対応していることで、高音質をそのままに手持ちのアンプやスピーカーで聞くことができます。

Chromecast または Chromecast Audio を通してAVアンプで聴くのがおすすめ

YAMAHAのAVアンプはSpotifyやDeezerなどのストリーミングに対応しており、MusicCastというアプリと連携して、スマホからの操作で音楽を再生することができます。ですが、これがなかなか、アプリの操作性はいまいち、ストリーミングとは思えないレスポンスで、再生指示をしてから待たされること数秒~数十秒、GooglePlayMusicになれた人からするととても我慢できない代物でした。

結局のところ、一番お勧めの視聴環境は、スマホ(当方Android)の Deezer から Chromecast か Chromecast Audio キャストすることです。Deezerに関して、Chromecastを通すとHQ(最高音質)再生に対応していないのではないかという情報もありましたが、現状では、HQの再生が可能です。ロスレスのままアンプの DAC へつなぎますから、一番いい条件で聴けることになります。

音質比較表

再生環境とDAC、スピーカーのの組み合わせをいろいろ試してみました。ポイントは、Deezerの高音質とGoogle Play Musicの音質に差がはっきり感じられるかどうかという点です。実際、どちらの音質もかなりいいので、★の数は、あくまで差を段階に分類したものです。また、耳を凝らしてじっと聞き比べても差があるのかどうかわからないものは同点、または気持ち程度の差を+で表してあります。

大まかには次の試聴形態で、

  • AVアンプで最高品質で聴いたもの
  • AVアンプだがBluetoothレシーバーを通したもの(AACや aptXに圧縮される)
  • スマホのイヤホンで聞いたもの(ロスレスだが、AndroidOSのミキサー経由、イヤホンのDAC依存)
  • 卓上のアクティブスピーカーONKYO GX-D90で聴いたもの(aptX Bluetoothレシーバーの光出力)

となります。

GX-D90は1万円台のアクティブスピーカーで光入力があります。aptX Bluetoothレシーバーは HS-BMR002という超小型のDACですが、この光出力を GX-D90 へ送って試聴します。

Sound Source Receiver Amplifier Speaker Score
Deezer(HQ) Chromecast Audio(Optical out) RX-A3060 + A-300 IKON6MK2 ★★★★★
Google Play Music(320kbps MP3) Chromecast Audio(Optical out) RX-A3060 + A-300 IKON6MK2 ★★★★
Deezer(HQ) Bluetooth (AAC on RX-A3060) RX-A3060 + A-300 IKON6MK2 ★★★
Google Play Music(320kbps MP3) Bluetooth (AAC on RX-A3060) RX-A3060 + A-300 IKON6MK2 ★★★
Deezer(HQ) Chromecast Audio(Optical out) - GX-D90 ★★
Google Play Music(320kbps MP3) Chromecast Audio(Optical out) - GX-D90 ★★
Deezer(HQ) Bluetooth(aptX on HS-BMR002) - GX-D90
Google Play Music(320kbps MP3) Bluetooth(aptX on HS-BMR002) - GX-D90
Deezer(HQ) USB-C earbuds - USB-C earbuds ★★+
Google Play Music(320kbps MP3) USB-C earbuds - USB-C earbuds ★★

 

結局のところ、一番最初のオーディオシステムをフルに生かし切った構成で聴いたものしかGooglePlayMusicとの差異は優位に感じられないということになりました。

補足1)

MacOSやWindows上で再生する場合、通常OSのミキサーを通りますから、若干音質のロスが生じます。(特にOSXのミキサーはひどいらしい)Deezerのプレーヤーが対応できるかわかりませんがサウンドデバイスを排他的にオープンできる設定が理想です。また、OSのミキサーを通る場合でも、音声出力のビット数と周波数を24bit/96kHzなどに上げるのも効果的ははずです。

中華アンプの最高峰(のはずの)Indeed TDA7498E が DENON PMA-1500SE に完敗の巻

【環境】

友人宅に、我が方の Indeed TDA7498E を持ち込んで試聴比較しました。

1)YAMAHA WXC-50 => DENON PMA-1500SE => KEF LS50
2)YAMAHA WXC-50 => DENON PMA-1500SE(プリアウト) => Indeed TDA7498E => KEF LS50

音源はまさかの Google Play Music から Bluetooth(AAC)で飛ばしたJPOP。
音源の音質が悪すぎて比較にならないかもしれないと思うところに違いがあったことに大きな差があったことになります。

【試聴】

低音域の安定感とボリュームは両者互角か、もしかするとIndeedのほうがやや優勢かと思うところもありました。しかし、低域から高域にかけてのフラットな安定感と、空間的な表現は圧倒的にDENONの勝でした。空間的に広がる表現は高域成分が優れていることに依っていると思われますが、Indeedの高域成分も実際には雑なものだったと思い知ることになりました。左右の分離については音源が音源だけに、注意して聞くことができませんでしたが、DENONのディスクリートな回路設計から悪いはずもなく不問ということにします。


【結論】

有名メーカーの技術を結集した中堅機種が1万円の中華アンプに負けるはずがないという、順当な結果だといえばそうかもしれません。これまで、私自身中華アンプを持ち上げすぎていた感じもあるので、反省も込めて、ここで、中華アンプの相対的な立ち位置が見えてきたのでまとめてみましょう。

パワーアンプ部分の単純音質比較として結論を先に書けば

YAMAHA AVアンプのハイエンド RX-A3060 < Indeed TDA7498E < DENON PMA-1500SE

定価ベースでみると

¥270,000 < ¥10,000 < ¥90,000

チャンネル単価にすると

¥30,000 < ¥5,000 < ¥45,000

だんだん見えてきましたね。

仮説)Indeed TDA7498E はメジャーなプリメインアンプのチャンネル単価3万円~4.5万円の間の音質である。

例えばYAMAHAのプリメインのラインナップから

A-S501 チャンネル単価 30000
A-S801 チャンネル単価 50000
A-S1100 チャンネル単価 100000

すると、仮説を基にするとIndeedのアンプは A-S501と同等、A-S801には負けるかもしれないかなということが予想されます。

あくまで、一つの見方なので、プリメインアンプをアップグレードする際などの参考までにしてくださいね。

 

オーディオスピーカー用高級オーディオボードの代わりに重石

オーディオボードとは一般にスピーカーなどのオーディオ機器の下敷き、台座で、木製のものから石板まで様々あります。見た目はともかくこれには、音質に関わる重要な役目があります。

  • 低音が締まる、ぼわついていた低音がはっきりする
  • 高音がはっきりと高音質になる
などなど効果のほどが言われていますが、スピーカーに下敷きを入れるだけで音質の変わるからくりはひとえにスピーカーの筐体から出る音・振動をどうやって抑えるかということにつきます。
 
スピーカーのスピーカー以外から出る音を止める
 
スピーカーはコーンの振動が空気に伝わることで音になるわけですが、実際には、振動はスピーカーの裏側の空気から筐体にも伝わり、またスピーカーの枠から直接筐体に伝わり、筐体自身の振動になり、それが再び空気を揺さぶりスピーカー以外から出る音になります。
 
スピーカー自体は、箱に使われる部品や筐体の材料も含めて、そういった振動も込で設計されているものと思います。ただし、スピーカーのスピーカ以外に伝わる振動や音は設置環境にかなり影響されるもので、理想的な設置環境とは、筐体ががっちり、空間的に微動だにしない状態に強固に固定された状態と考えます。
 
音を悪くするスピーカーの振動を2つに区別してみます。

スピーカーから設置床へ伝わる振動

「インシュレーター」と呼ばれるスパイクや、スパイク受けなどの小部品がこれを防ぐ役割を担います。これらは、設置床に対してしっかりグリップすることで、スピーカー自体を揺らさないようにする部品ですが、前提として、「絶対に揺るがない地面」が前提でコンクリートの打ちっぱなしのような床でない、カーペットや、畳、クッションフロア、木のフロアの場合は、スピーカーが肯定されないで、スピーカー自身が振動して振動を逃せないか、振動を床から広く伝えすぎてしまう恐れがあります。

スピーカー自身の振動

たとえ、スピーカーが床から独立して、空中に浮いていたとしても、スピーカーのコーンの振動の反作用として、本体が受ける力が振動となるのは避けられません。筐体を揺らさないようにするためには、力学的には、筐体自身が「無限に重い」か、「無限に重い床に固定」されていればよいことになります。
 
スピーカーに敷く石製の重いオーディオボードは、柔らかい、カーペットや木製フロアリングに代わり、無限に重い床に近づけるための工夫です。履かせるスパイクは床の間がぶれないようにがっちり固める効果があります。
 

ポピュラーな手法に則ればインシュレーターと石製のオーディオボード

石の種類がどうではなく、あくまで物理学に基づけば、重ければ重いほどいいことになります。実際には設置場所がありますから、無限には重くできません。同じサイズであれば、密度の高いもの、なるべく重いものを選択します。
 ブックシェルフ型の小さいスピーカーではなく、フロアスタンド(トールボーイ)型のスピーカーの場合は、その重量に比例するようにより重いものを選択した方がいいことになります。

実はツイーター近傍の制振も意外にも絶大な効果あり

最近体験した驚くべき事実ですが、スピーカーの天面に5kgの鉄アレイを試しに置いてみた時のことです。高域成分が明らかにきゅっと締まったという変化がありました。ボーカルの口の大きさは明らかに中央により小さくなり、トライアングルなどの金属音の定位がよりはっきりして聞こえます。なるほど、高域成分が音の定位に大きく影響するという謂れがこれかと実感した瞬間でした。
私のスピーカーは DALI IKON6MK2 で、リボンツイーターの中堅機種ですが、高級機に施されるピアノフィニッシュのような処理はありません。ピアノフィニッシュは見た目の良さもありますが、剛性を高める意味もあります。重量も、メルセデスベンツよろしくELACのスピーカーのように重量もそれほどなく(15kgほど)木製の筐体ゆえに、効果があったといえるかもしれません。お金を掛けず1ランクアップの収穫でした。
  
 
 
 

YAMAHAハイエンドAVアンプ RX-A3060と中華デジアン Indeed TDA7498E 勝負

私の最終目的地であるYAMAHAのハイエンドAVアンプを入手。この機種自体のレビューは各所にあるので割愛します。YAMAHAの多彩なDSPや採用されているESSのDACなどに関して疑いはありません。特に「YPAOボリューム」なる機能は、実のところはただのイコライザーなのですが、YPAOの自動計測によって、スピーカーごとに、実測値を元に設定され、試聴環境や、スピーカー自身の特性でゆがむ周波数帯域ごとの強弱を逆にかけて補正します。スピーカー配置と部屋が左右対称でなければ、当然、この「イコライザー」のかかりも左右異なった設定になるのですが、これはリスニングポジションで均等に聞こえるようにするための補正です。この機種にして一番衝撃だったのはこの機能でした。

一方で気になるのは、メインアンプ部分の性能です。俗には、AVアンプは単体のプリメインアンプには絶対にかなわないといわれています。これまで、つなぎとして使ってきたデジタルアンプIndeed TDA7498Eを使って比較してみようと思います。

比較試聴条件は、

1. YAMAHA RX-A3060 → DALI IKON6 MK2
2. YAMAHA RX-A3060 (BI-AMP)→ DALI IKON6 MK2
3. YAMAHA RX-A3060 (PREOUT) → Indeed TDA7498E → DALI IKON6 MK2

となります。

音源は、CD相当のFLACのクラシック、Google Play Music(MP3 320kbps相当)で、3060はいわば、ネットワークプレーヤー・DACとして働いてもらいます。アンプそのものの比較のためにピュアダイレクトモードで聞きます。

1と2の比較、以前 RX-V2067 を使ったときはBI-AMPとシングルの場合とで大きな差がありましたが、今回はほとんど差がわかりません。1chのアンプの出力が十分大きいことが効いているのだと思います。ATMOSなどで多チャンネルを楽しみたい場合や、スピーカーの数でチャンネルがあえて余っているということでなければ、BI-AMP構成にする意味はあまりありません。

気になる2と3の聞き比べに驚きがありました。

俗にAVアンプのパワーアンプとしての性能は、プリメイン機と比べて、値段をチャンネル数で割った程度といわれていますので、30万円の3060でいうとだいたい6万円前後のプリメイン機相当とざっくり見積もれます。一方で、中華アンプは超小型で省電力のデジタルアンプ1万円強です。YAMAHAの最高級AVアンプが、まさかこれに負けるわけはあるまいと思いながら試聴しました。が、結果、Indeed TDA7498Eの勝ちでした。

聞き比べてまずわかるのが、左右の分離と定位感で、Indeed 7498Eを通すと明らかに、ボーカルがより中央に寄り、オーケストラの各楽器も位置がはっきりしてきます。Indeed恐るべし。次に、パワーですが、POPSやJAZZではなかなか差がわかりにくいですが、オーケストラでたくさんの楽器が一度にバーッとなっている時などに差が出ます。音階を降りていくコントラバスの音が、定位とアタックをキープしながら移動するのがわかりますが、3060単体では他の楽器に埋もれて、アタックが弱く、だれてしまって聞こえます。デジタルアンプ恐るべし。中高域は7498Eのほうがデジタルアンプよろしく、ややキラキラ気味に感じますが、両者で優劣があるほどではありません。むしろこの程度の差は、YPAOボリュームを使うと吸収されてしまうでしょう。

かつてRX-V2067にIndeed TDA7498Eを接続した時の音と比べてはるかに向上しているのは、AVアンプのDACとしての音質が向上しているためで、7498Eの潜在力がまだまだ残っていたことになります。

奇しくも、YAMAHA最高峰のAVアンプのパワーアンプ部分が1万円の中華アンプに負けてしまいましたので、当分は、RX-A3060に外部メインアンプとしてIndeed TDA7498Eを使用する構成で行こうと思います。拙作の12Vトリガー連動タップはここでも活躍です。

TDA7498Eというチップセットを使った人気アンプには SMSL SA-98EやFX-AUDIO- FX1002A/Jなどがありますが、おそらく、この2機種だったすれば、私は外部メインアンプとして使用しなかったと思います。経験的にこの2機種は、Indeedと比べて左右の分離が悪いので、この点でもってRX-A3060の内臓パワーアンプを置き換えるほどとは思わなかったかもしれません。

唯一Indeed TDA7498Eの欠点は、同チップセットの他製品と同じく、無音時でもかすかなホワイトノイズ(ヒスノイズ?)が出ることです。ノイズのレベルはボリュームによらず一定で、24Vと36Vの電源を使って感じたところでは、電源電圧が上がるとノイズレベルも上がるといったところです。スピーカーの構成、試聴距離で、このノイズが聞こえてしまう環境だとつらいかもしれませんが、少なくとも私の環境の場合は、このノイズは、無視できるレベルです。

中華アンプIndeed TDA7498Eは安価なAVアンプやネットワークプレーヤー製品あるいは、単体のDAC製品と組み合わせて限りなく安く、それでいてピュアに近い高音質を実現する追加パーツとして非常に強力だということがわかりました。