AVアンプをピュアレベルにパワーアップする Emotiva A-300

Emotiva とはアメリカのオーディオブランド

AVアンプとしてはハイエンドであるはずの YAMAHA RX-A3060 を手に入れたものの、メインアンプの音の貧弱さに満足できず、安価で有力な外部パワーアンプを求めていたところ、中華アンプ Indeed TDA7498Eに出会い、それでも DENON の中堅プリメインに勝てないことを知るも、さらにコストパフォーマンスのよいアンプを探していました。そこで、出会ったのが・・・ Emotiva というブランドでした。

Emotiva はアメリカはテネシー州フランクリンにある会社で、安価でありながら高品質のオーディオ製品を開発しています。

https://emotiva.com/

1チャンネルのモノブロックから多チャンネルのパワーアンプ製品、DAC製品、スピーカー、アクセサリなどなどを直販しています。アンプに関しては、いわゆる1つになった、プリメインのラインナップではなく、プリアンプと、ボリュームツマミさえない「パワーアンプ」のセパレートが特長になっています。

また、スピーカーのラインナップは、10万円以下の価格でありながらELACで採用されているようなリボンツイーターである、AMTドライバー(ハイルドライバー、JETドライバーとも言う)が使われている製品があり、音質も含めて気になります。

日本では取り扱うディーラーはありませんが、Emotivaのウェブサイトから直販、あるいは、アメリカの amazon.com からも購入して日本へ直接配送させることができます。※2017年12月現在 A-300 は在庫切れの様子。相当な人気をうかがわせます。

スピーカー製品も気になりますが、今回の注目はパワーアンプです。

BasX シリーズ A-300 はまさにAVアンプのお供のためにあるような仕様

ラインナップの中では後発の BasX という入門クラスのシリーズの一つに 2ch パワーアンプ A-300 があります。主な仕様は

2チャンネル 入力はRCAのアンバランス 150W(8Ω) 300W(4Ω) の出力 スピーカーは 4Ω から対応。 周波数特性 5 Hz to 80 kHz (+ / – 1.8 dB) ダンピングファクターは 500 (8Ω) 12Vのトリガー入力があり、AVアンプ側が対応していれば、電源の連動が可能。 AC電源は 115V 230V の自動認識。(日本の100Vでも一応動作します。)

価格は 399USD (45,000円ほど) 送料別

ボリューム、リモコンなどが一切ないシンプルなパワーアンプです。

Emotiva A-300の英語で書かれたレビュー記事も数少なく、日本語レビューは現在のところネット上で見つけることはできません(2017年11月現在)。

参考)レビュー英語

http://www.enjoythemusic.com/magazine/equipment/1016/Emotiva_BasX_A300_Amplifier_Review.htm

ピュアオーディオの入り口に立った感

当方オーディオの評論家ではないので絶対評価をめくるめく言葉で言い表すことはうまくできません。相対的な評価をあえてするなら手持の YAMAHA RX-A3060 の内蔵のパワーアンプと比べて雲泥の差があるということです。また、しばらく使っていた中華アンプ Indeed TDA と比較しても圧倒的な解像度と安定感があります。

ここに来て具体的に初めて体験できたことをいくつか紹介します。

  • 2ch だけの再生で左右だけでなく、前後左右に広がる音場を感じる  従来(AVアンプだけ、あるいは中華アンプ)では、左右の位置感覚というのはなんとか聞こえていました。例えばボーカルが中央に定位し、楽器がより正確に方向が定まるというのが左右の定位でした。しかし、前後感覚というのは、あまり感じていなかったと気が付きました。ここに来て新たに、前後感覚が加わり、ライブ録音などでは、観衆の拍手が自分自身の横や、後ろにまで広がるのが感じられました。

  • マルチチャンネルの映画で、音のつながりがより自然に感じる  ATMOSとかでない、ただの5.1ch仕様のムービーですが、左右に流れる効果音、爆発などがよりスムーズに流れて聞こえるようになりました。外部アンプの導入はフロントの 2ch だけだったわけですが、結果として、全方位で音の定位感が増したという結果となりました。ピュアよりもAVアンプ派としては、うれしい収穫でもあります。

  • 男性ボーカルの声がさらに中央に定位する  男性と女性では、一般に1オクターブの音程差があり、女性の声の方がより左右の位置感覚がよいように感じます。一方で、男性ボーカルでは、それが不確かになり、場合によっては、左右に散らばって、真ん中から聞こえないこともありました。例えば、具体的に、マイケルジャクソンの声は、比較的高く細いので、真ん中からよく聞こえます。一方で、玉置浩二の声は、低く唸るような声と、ハーフトーンのざらついた高域成分の2つからなっていて、なぜか左右に広がってしまう傾向にありました。これが今回、中央に寄ったということで、より中、低域での音の再現度が向上したことによるのだと思っています。

YAMAHA のAVアンプと相性ぴったり

A-300は Emotiva の中でも、BasXと呼ぶだけあって、入門(あるいはミドル)クラスの位置づけです。ピュアを突き詰めるには、内容的にも、価格設定的にも中途半端なのですが、AVアンプと組み合わせた時には絶大な付加価値を生み出す潜在力があります。

YAMAHAの AVアンプには電源と連動する 12V のトリガー出力があります。A-300のトリガー入力を使うことで、AVアンプと電源連動して、AVアンプのパワーアンプとして働くことができます。見渡すところ、ミドルからハイエンドのプリメインに、外部から電源連動させる仕組みがあるのは、YAMAHAくらいで、気になっていたDENONのプリメインにはそういった仕組みがありません。それどころか、DENONの最新のラインナップでは、パワーアンプモードが省略されているようで、AVアンプと連機できない方向に向かっているように見えます。

YAMAHA の AVアンプのラインナップのうち、RX-A870以上はプリアウトがあり、外部パワーアンプとして組み合わせることで音質面でグレードアップができることになります。

コストパフォーマンス的には RX-A30x0 1台を買うよりも RX-A10x0 とこの Emotiva A-300 を組み合わせたほうが圧倒的に音質面で得をするのではないかと思っています。

多くのレビューに、「値段の割に」という断りが付いていますが、高級オーディオの領域に一歩踏み出せる1品です。

多チャンネルホームシアターとピュアオーディオの両立は無理と言われても1つで音質も欲張りたい自分がいます。一小市民としては、ネットワークオーディオ、映画などの機能的な部分重視な結果、音質も追求したい一方で、軸足はAVレシーバーにあります。それでも、なるべく安いコストで、良質を求めつつ、機材の占有スペース、消費電力にも気を遣うエコシステムを追及するもので、同じ機能を持つ機材はなるべく2つと持ちたくないと思っています。その点でも、この機種はちょうどいいポジションにありました。

YAMAHA AVアンプ(RX-A3060)に一言いえば

DACにESSの高級チップを採用し、3070 ではついにバランス入力まで備える高機能ぶりでも、最終段であるパワーアンプで音質が台無しになってしまっているのは残念です。

フロント 2ch だけ特別仕様のアンプはだめ?

多くの方が同じではないかと思いますが、ホームシアターを 5.1ch 7.1ch で構成していますが、住宅事情と経済事情でスピーカーは、フロント2chのみが大きいスピーカーで、その他サラウンドスピーカーは、小型のものにしています。一方で、AVアンプは、どこのメーカーも、全チャンネルが同じ仕様で構成されています。理想と建前としてはそれでいいのかもしれません。しかし、映画にしても音楽にしても、真後ろを向いて同じコンテンツを同じ音質で聴こうとは誰も思いません。多チャンネル化のせいで、どうしても1chあたりのコストが限られるのであれば、全体を一定のコストに収めるべく、せめてフロント2chだけでも特別仕様のパワーアンプを積んで、残りは音質傾向をなるべく維持しつつより小さいアンプにするという選択肢があってもよいのではないかと思いました。

いっそ全チャンネルデジタルアンプにしたら?

最近になって、YAMAHAやDENONからD級アンプ(デジタルアンプ)の製品が出てきました。小型ながら、フロアスタンドのスピーカーを鳴らすほどのパワーがあるだけでなく、音質面でも定評です。AVアンプの宿命上、マルチソース、映像処理、WiFiにBluetooth、LANにインターネットなど、1台のPC以上の機能を詰め込み、それに加えて、9chのパワーアンプを従えるというのは、サイズ的にもいっぱいいっぱいであるのは理解できます。デジタルアンプが順調に高音質に成長できるたのであれば、全チャンネルD級のAVアンプがあってもいいのではないかと思います。Pioneerの VSX-S520、ONKYO TX-L50 などマルチチャンネル対応で、デジタルアンプを使った製品がありますが、あくまでローエンドの位置づけで、現在のYAMAHAのAVアンプラインナップと互角に検討できる相手ではありません。

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