オーディオスピーカー用高級オーディオボードの代わりに重石

オーディオボードとは一般にスピーカーなどのオーディオ機器の下敷き、台座で、木製のものから石板まで様々あります。見た目はともかくこれには、音質に関わる重要な役目があります。

  • 低音が締まる、ぼわついていた低音がはっきりする
  • 高音がはっきりと高音質になる
などなど効果のほどが言われていますが、スピーカーに下敷きを入れるだけで音質の変わるからくりはひとえにスピーカーの筐体から出る音・振動をどうやって抑えるかということにつきます。
 
スピーカーのスピーカー以外から出る音を止める
 
スピーカーはコーンの振動が空気に伝わることで音になるわけですが、実際には、振動はスピーカーの裏側の空気から筐体にも伝わり、またスピーカーの枠から直接筐体に伝わり、筐体自身の振動になり、それが再び空気を揺さぶりスピーカー以外から出る音になります。
 
スピーカー自体は、箱に使われる部品や筐体の材料も含めて、そういった振動も込で設計されているものと思います。ただし、スピーカーのスピーカ以外に伝わる振動や音は設置環境にかなり影響されるもので、理想的な設置環境とは、筐体ががっちり、空間的に微動だにしない状態に強固に固定された状態と考えます。
 
音を悪くするスピーカーの振動を2つに区別してみます。

スピーカーから設置床へ伝わる振動

「インシュレーター」と呼ばれるスパイクや、スパイク受けなどの小部品がこれを防ぐ役割を担います。これらは、設置床に対してしっかりグリップすることで、スピーカー自体を揺らさないようにする部品ですが、前提として、「絶対に揺るがない地面」が前提でコンクリートの打ちっぱなしのような床でない、カーペットや、畳、クッションフロア、木のフロアの場合は、スピーカーが肯定されないで、スピーカー自身が振動して振動を逃せないか、振動を床から広く伝えすぎてしまう恐れがあります。

スピーカー自身の振動

たとえ、スピーカーが床から独立して、空中に浮いていたとしても、スピーカーのコーンの振動の反作用として、本体が受ける力が振動となるのは避けられません。筐体を揺らさないようにするためには、力学的には、筐体自身が「無限に重い」か、「無限に重い床に固定」されていればよいことになります。
 
スピーカーに敷く石製の重いオーディオボードは、柔らかい、カーペットや木製フロアリングに代わり、無限に重い床に近づけるための工夫です。履かせるスパイクは床の間がぶれないようにがっちり固める効果があります。
 

ポピュラーな手法に則ればインシュレーターと石製のオーディオボード

石の種類がどうではなく、あくまで物理学に基づけば、重ければ重いほどいいことになります。実際には設置場所がありますから、無限には重くできません。同じサイズであれば、密度の高いもの、なるべく重いものを選択します。
 ブックシェルフ型の小さいスピーカーではなく、フロアスタンド(トールボーイ)型のスピーカーの場合は、その重量に比例するようにより重いものを選択した方がいいことになります。

実はツイーター近傍の制振も意外にも絶大な効果あり

最近体験した驚くべき事実ですが、スピーカーの天面に5kgの鉄アレイを試しに置いてみた時のことです。高域成分が明らかにきゅっと締まったという変化がありました。ボーカルの口の大きさは明らかに中央により小さくなり、トライアングルなどの金属音の定位がよりはっきりして聞こえます。なるほど、高域成分が音の定位に大きく影響するという謂れがこれかと実感した瞬間でした。
私のスピーカーは DALI IKON6MK2 で、リボンツイーターの中堅機種ですが、高級機に施されるピアノフィニッシュのような処理はありません。ピアノフィニッシュは見た目の良さもありますが、剛性を高める意味もあります。重量も、メルセデスベンツよろしくELACのスピーカーのように重量もそれほどなく(15kgほど)木製の筐体ゆえに、効果があったといえるかもしれません。お金を掛けず1ランクアップの収穫でした。
  
 
 
 

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