YAMAHAハイエンドAVアンプ RX-A3060と中華デジアン Indeed TDA7498E 勝負

私の最終目的地であるYAMAHAのハイエンドAVアンプを入手。この機種自体のレビューは各所にあるので割愛します。YAMAHAの多彩なDSPや採用されているESSのDACなどに関して疑いはありません。特に「YPAOボリューム」なる機能は、実のところはただのイコライザーなのですが、YPAOの自動計測によって、スピーカーごとに、実測値を元に設定され、試聴環境や、スピーカー自身の特性でゆがむ周波数帯域ごとの強弱を逆にかけて補正します。スピーカー配置と部屋が左右対称でなければ、当然、この「イコライザー」のかかりも左右異なった設定になるのですが、これはリスニングポジションで均等に聞こえるようにするための補正です。この機種にして一番衝撃だったのはこの機能でした。

一方で気になるのは、メインアンプ部分の性能です。俗には、AVアンプは単体のプリメインアンプには絶対にかなわないといわれています。これまで、つなぎとして使ってきたデジタルアンプIndeed TDA7498Eを使って比較してみようと思います。

比較試聴条件は、

1. YAMAHA RX-A3060 → DALI IKON6 MK2
2. YAMAHA RX-A3060 (BI-AMP)→ DALI IKON6 MK2
3. YAMAHA RX-A3060 (PREOUT) → Indeed TDA7498E → DALI IKON6 MK2

となります。

音源は、CD相当のFLACのクラシック、Google Play Music(MP3 320kbps相当)で、3060はいわば、ネットワークプレーヤー・DACとして働いてもらいます。アンプそのものの比較のためにピュアダイレクトモードで聞きます。

1と2の比較、以前 RX-V2067 を使ったときはBI-AMPとシングルの場合とで大きな差がありましたが、今回はほとんど差がわかりません。1chのアンプの出力が十分大きいことが効いているのだと思います。ATMOSなどで多チャンネルを楽しみたい場合や、スピーカーの数でチャンネルがあえて余っているということでなければ、BI-AMP構成にする意味はあまりありません。

気になる2と3の聞き比べに驚きがありました。

俗にAVアンプのパワーアンプとしての性能は、プリメイン機と比べて、値段をチャンネル数で割った程度といわれていますので、30万円の3060でいうとだいたい6万円前後のプリメイン機相当とざっくり見積もれます。一方で、中華アンプは超小型で省電力のデジタルアンプ1万円強です。YAMAHAの最高級AVアンプが、まさかこれに負けるわけはあるまいと思いながら試聴しました。が、結果、Indeed TDA7498Eの勝ちでした。

聞き比べてまずわかるのが、左右の分離と定位感で、Indeed 7498Eを通すと明らかに、ボーカルがより中央に寄り、オーケストラの各楽器も位置がはっきりしてきます。Indeed恐るべし。次に、パワーですが、POPSやJAZZではなかなか差がわかりにくいですが、オーケストラでたくさんの楽器が一度にバーッとなっている時などに差が出ます。音階を降りていくコントラバスの音が、定位とアタックをキープしながら移動するのがわかりますが、3060単体では他の楽器に埋もれて、アタックが弱く、だれてしまって聞こえます。デジタルアンプ恐るべし。中高域は7498Eのほうがデジタルアンプよろしく、ややキラキラ気味に感じますが、両者で優劣があるほどではありません。むしろこの程度の差は、YPAOボリュームを使うと吸収されてしまうでしょう。

かつてRX-V2067にIndeed TDA7498Eを接続した時の音と比べてはるかに向上しているのは、AVアンプのDACとしての音質が向上しているためで、7498Eの潜在力がまだまだ残っていたことになります。

奇しくも、YAMAHA最高峰のAVアンプのパワーアンプ部分が1万円の中華アンプに負けてしまいましたので、当分は、RX-A3060に外部メインアンプとしてIndeed TDA7498Eを使用する構成で行こうと思います。拙作の12Vトリガー連動タップはここでも活躍です。

TDA7498Eというチップセットを使った人気アンプには SMSL SA-98EやFX-AUDIO- FX1002A/Jなどがありますが、おそらく、この2機種だったすれば、私は外部メインアンプとして使用しなかったと思います。経験的にこの2機種は、Indeedと比べて左右の分離が悪いので、この点でもってRX-A3060の内臓パワーアンプを置き換えるほどとは思わなかったかもしれません。

唯一Indeed TDA7498Eの欠点は、同チップセットの他製品と同じく、無音時でもかすかなホワイトノイズ(ヒスノイズ?)が出ることです。ノイズのレベルはボリュームによらず一定で、24Vと36Vの電源を使って感じたところでは、電源電圧が上がるとノイズレベルも上がるといったところです。スピーカーの構成、試聴距離で、このノイズが聞こえてしまう環境だとつらいかもしれませんが、少なくとも私の環境の場合は、このノイズは、無視できるレベルです。

中華アンプIndeed TDA7498Eは安価なAVアンプやネットワークプレーヤー製品あるいは、単体のDAC製品と組み合わせて限りなく安く、それでいてピュアに近い高音質を実現する追加パーツとして非常に強力だということがわかりました。

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