中華デジタルアンプおそるべし(2) Indeed TDA7498E編

TDA7498Eというデジタルアンプ用のICを使った中華アンプには有名どころが3つあります。


 FX-AUDIO- FX1002A (NFJ版FX1002J)
 SMSL SA-98E
 Indeed TDA7498E



前者2つは日本でも人気で、オークションなどでも盛んに取引されています。Indeedの製品は、日本ではほとんどレビューがなく、Amazonでも、オークションでも取り扱いがなく、謎に満ちた一品です。

Indeedが直販しているebayの製品ページ

http://www.ebay.com/itm/NEW2014-Indeed-Audiophile-Quality-Class-D-TDA7498E-160WX2-Stereo-Amplifier-Black-/291079772133

では、ユーザーの声を掲載しています。そのほかのフォーラムでも、同じICチップを使っている他社製品とくらべて「すごい!」という書き込みが見られました。

スカスカの回路

製品の回路基板の画像を見て驚きます。こんなにスカスカでいいの?同じアンプICを使用したFX1002Jと比べると部品点数と密集度が全然違います。ただ、素人考えとして、余計な部品が少ない分だけ、アンプのICの素の性能を色づけなく素直に実装しているのだろうなと思うわけです。

綺麗なシンメトリ

回路のデザインがきれいに対称になっています。アンプICは1つですが、そこから出た音が左右きれいに分かれているのがわかります。左右の分離、定位感に強いのではないかと想像します。

オペアンプがない

FX1002Jはオペアンプを2基つんでおり、交換することで音質の変化が楽しめたりするわけですが、実は音にいろいろな化粧をしているようなもので、スピーカー環境や自分の耳にあったチューニングができるという一方で、原音の忠実度という点では離れてしまうように思います。このIndeedの回路のシンプルさはアンプのICが持つ性能を色づけせずにそのまま発揮してくれるのではという期待を持たせます。(アンプICから出たところに対称に回路が構成されていますがこれがディスクリートオペアンプなのかどうかは小生判別できず)

2本のコンデンサがでかい

FX1002Jにも大きなコンデンサ3300μFが積んでありますが、それを超える大きさ8200μFです。なんとなく、力の余裕を感じます。一方でSA-98Eは大きなコンデンサが1つ、あくまで素人の印象ですが、ここで左右の音が混ざるんじゃない?と勘繰るわけです。

実体験

予想通りの高音質でした。結論を先に言えば、TDA7498Eのほかの製品を頭一つ抜きん出ています。特徴的なのは低音がやや控えめであるが自然で、ベースラインが音階を下がっていくときも膨らんだ感じにならずフラットであるように(あくまで私のスピーカー越しで)感じます。高音域は、ギターやバイオリンの金属弦の摩擦音がリアルに、声の破擦音、場の空気感なども聞こえやすくなっています。当初、俗に言われるデジタルアンプの特性よろしく高域が持ち上がっている印象でしたが、1日ほどエージング(バーンイン)が進むとおとなしくなりました。

一番大きな収穫は、左右の定位感が増したことで、回路基板のデザインから想像していた通りの結果がありました。オーケストラでたくさんの楽器が一斉に鳴っている時でもどの楽器の奏者がどこに座っているかさらによく分かるようになりました。

また音の粒状感というかレスポンスというか制動感、例えば、バスドラのヒットが切れの良い「ドッ!ドッ!」と、より乾いた音に聞こえます。他機種では大げさに言えば「ボン!ボン!」と聞こえていたものです。

電源ONのままDC電源が落ちてもポップノイズが出ない!

最後に気が付いた重要な違いです。

FX1002Jでは、アンプの電源スイッチは、内部のリレー回路と連動していて「ブツッ」という音がスピーカーに出ないように作られています。しかし、アンプのスイッチがオンのまま、ACアダプタの電源供給がオフになると、DC出力の電圧が緩やかに数秒かけて下がるのですが、この時アンプ側は電源の落としどころがわからずポップノイズ防止リレーは働かず(間に合わず)、スピーカーに2~3Vのポップノイズが「ブツッ」と流れてしまうのです。

ところがIndeedのこの機種には、リレーらしきものがなく、電源のオン・オフでも「カチッ」という音がありません。それでいて、アンプ側の電源がオンのまま、ACアダプタの出力が落ちた場合でもスピーカーからブツッという音がほとんど(かすかには聞こえる)ないのです。どうやってそうなっているのかわかりませんが、うれしいおまけでした。

TDA7498E 3兄弟の比較

まったくの素人主観による評価ですが、3機種を比較してみました。

 

Indeed TDA7498E

FX-AUDIO-(NFJ) FX1002J

SAML SA-98E

パワー

★★★

★★★

★★★

低音域

★★★(並み)

★★★(やや過剰)

★★★(やや過剰)

中音域

★★★

★★★

★★★

高音域

★★★

★★★

★★★

左右の分解

★★★

★★

音の解像度

★★★

★★

★★

総合

★★★

★★


Comments (2) -

海江田暁 10/16/2017 9:30:27 AM

このコラムを参考にさせていただきました。
Indeed TDA7498Eは中華デジアンでは最高だと思います。アダプターは汎用ACアダプター 24V 5A スイッチング式 最大出力120W 出力プラグ外径5.5mm(変換アダプターを追加 外径5.5内径2.1→内径2.5)にしました。
ところで、YAMAHAのプリメインアンプ A-S301、A-S501、A-S801、A-S1100、A-S2100、A-S3000が好評のようですが、Indeed TDA7498Eと比較するとYMAHAのどのタイプがガチで勝負できるアンプだとお考えですか。私はA-S1100ならば「買い」ではないかなと考えます。

対抗できそうなYAMAHAのプリメインアンプ。まさに、私も関心のある事でした。が、残念ながら「ガチ」聞き比べられる機会もなく、答えはまだ出ていません。最近はDENONやYAMAHAから5~6万円のデジタルアンプも出てきていますからこちらも気になりますね。

あくまで量販店で視聴しての印象ですが、A-S801以下の3桁番号のクラスでは、ちょっと苦しいのではと感じました。上を目指すなら1100番以降かなという点では同感です。

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